「シミ抜き」と「EM」

鈴屋(東京・町田)

「達人」と呼ばれるまでになるには苦労はあった。市川社長は今年60歳になるが、実は34歳でクリーニング業を始めた脱サラ組。当初は外交で集め下請けに出すところからスタートしている。このため創業当初はシミ抜きで泣かされ、弁償もした。しかし、それではいけないと技術の研さんに励んだ。そうした中で染色補正という国歌資格があることを知り、京都の先生について技術を習得。平成3年に染色補正2級技能士、平成9年に1級技能士の資格を取った。これが現在の技術力につながっている。

そしてもう1つは、シミ抜きの料金を明確化していること。同社のシミ抜き料金は、洋服類が「1千円より」きものが「3千円より」で、1センチ四方のシミを基準に、素材とシミの種類やシミができてからの期間などから算出される。難しいシミについては見積もりと期間を提示し、了解を得た上で作業に入る。実際同点のシミ抜きコーナーの衣類には「2千円まで」といった顧客の希望価格が伝票に記入されていた。「2千5百円までならやってほしい」というネクタイなどもあった。2万円でもやってほしいという以来もあるそうだ。中には遠方からわざわざ車で10万円分ほどのシミ抜きをお願いしに来る人もいるという。

市村社長のもとには「絶対ムリだと思っていたシミがきれいになり感激しました」といったお礼の手紙やEメールが多数届く。「今回もお願いします」と御礼と共に次の品物を送って来る人もいる。それだけ消費者はシミに困っているということだ。

環境にやさしいEM
仕上がり品質も差別化

洗浄技術においても、他店にない特色を打ち出している。同社がすすめる「EMクリーニング」は、琉球大学の比嘉照夫教授により開発された技術をクリーニングに応用する新しい技術。2年半ほど前に、本紙で取り上げた記事を読み、早速研究を始めたという。

最初は半信半疑だったが、続けて使っていくうちに静電気が起きないことや洗い上がった衣類が蘇ることがわかってきた。そしてEMクリーニング研究会にも入会し同業者の話等も話なども聞きながら研究していくうちにそれが実感できるようになってきた。

現在ではシミ抜きにもEMを使っている。EM菌の良さは「おだやかに効いてくる」ということと、シミ抜きにはいろいろな薬品を使ってきたが、EM菌は使いはじめてから失敗が1度もないという。

また最近同社では溶剤管理機器メーカーのマリックスにより溶剤中の菌(大腸菌やカビ菌)の培養テストを行った。この結果、同社の溶剤にはそうした菌が発生しないことが分かったという。EM菌については、まだまだこれから研究をしていかなくてはならない。効果について科学的な説明はできない場合もあるが、少なくともこの菌は「悪いことをしない」という確信はあるという。色々な分野でEMを使い、下水に流せば河川も蘇る。環境浄化型の商品として、自社で使用するだけでなく店頭でもお客様に提案販売している。黙ってどんどん売れていくような商品ではないが、逆にどこにでもある商品ではないだけに、EMについて理解するお客様からは「品切れさせないでくれ」との要望も出されている。

(クリーニング流通新聞 2003年8月10日より抜粋)